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2007.07.14

激しい雨。

気分を楽にするために、無理矢理にエントリーを起こします。こういう時にいろいろと発想できるケースが多いですし、ジックリとあれこれ思いを馳せながら書く事も出来るんじゃないかと。

いま(7月14日昼)外は大雨であります。夕方には外出しますけれど、台風は浜松に着々と近づいているんだよねぇ…。

だからというわけじゃないんだけれど、今回取り上げるのはディランの『激しい雨(原題・Hard Rain)』です。安直な発想と言えば、確かにその通りなんだけれどねぇ…(苦笑)。

Hardrain

Bob Dylan / Hard Rain

以前に"ローリング・サンダー・レビュー"のエントリーを起こした事があります。そこに記載してある事と重複しますけれど、簡単にそのイベントの概略を書いておきます。

75年と76年の2年間、ディランがローリング・サンダー・レビューと銘打って、会場を一週間前に告知して当地でビラをまき演奏を続けていく形式の、いわば「音楽巡礼団」のようなツアーをしていました。以前のエントリーの分が75年の録音、そして今回の『激しい雨』が76年の録音という事になります。

いろんな資料を見てみると、75年の意気揚々さとは違い、76年のディラン様ご一行はかなり疲弊して、ディラン本人も企画に嫌気が差していたそうな。丁度、当時の妻であるサラとの離婚問題とかも重なって酒浸りになり、コンディション的にも荒れていたという感じ。

オマケにこの『激しい雨』、ファンの間では音質が良くないと云う事でリマスターを望む声が多かったりします。だからこそ、75年の録音分が発売された時は狂喜乱舞したのではありますが。

話を『激しい雨』に集中させましょう。

曲調自体は、ディランにしてはハードなアレンジが多く、ロックンロール色が強いアルバムです。特に1曲目の「マギーズ・ファーム」とか3曲目の「メンフィス・ブルース・アゲイン」、6曲目の「嵐からの隠れ場所」等々。原曲の形をとことんぶち壊して、何かにとり憑かれたようにシャウトする場面が多いんです。

75年の分と比較すると、ヤケクソといえばヤケクソに見えるし、音質の悪さも相まって「何かをブチまける」かのように自分の素の感情をさらけ出してみっともなく見える。ジャケットからして「白い化粧を施している顔写真」というのが、本当に「素のままをご提供いたしました」みたいな感じがある。

普通だったら、素の感情に少しフィルターやコーティングをかけてしまうんだろうけれど、ディランはそういう事をしません。半ば開き直りかのように、自分をとことんさらけ出す…そんなミュージシャンです>ディラン。

世間的にどうかは解らないけれど、そのみっともなさ感があり、同時に彼に対する愛おしさを感じるからこそ、僕はこのアルバムを「ディラン史上のNo.1アルバム」と評価しています。

最後の曲、『愚かな風(原題・Idiot Wind)』の激しく畳みかけるようなシャウト…これもまたディラン史上のNo.1パフォーマンスだと思っています。

「お前は馬鹿だ。まだ息の仕方を知っているだけでも奇蹟だ」
「俺達は馬鹿だ。今でもメシが食えるなんて奇蹟だぜ」

誰に毒づくでもなく、何でもイイから「怒りをとにかくぶちまけちゃえ!」っていうヤケクソ感がたまらない。この曲があるだけでも『激しい雨』は名盤たり得ると思っています。

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自分も規模は小さいけれど、こういう風に何かをぶちまけたくなる時ってのはあるんですよ。それを普段やっちゃったら人間関係とかが壊れちゃうんからいけないんでしょうけれど、どっかでやっておかないと身が持たない。

それが大人げない行為だというのは解っていますけれど、みっともなさも含めて全てをさらけ出したいって、そんな風に考えています。それがもしかしたら、社会生活の中で云う甘えかもしれないけれど、却って晒す事で何かに達したいと思っている自分が明らかに存在しています。

ディランと自分じゃ本当にやっている事に天と地の差がありますが、極力明らかにしてしまう事で、なんとか自己対象化したいと考えていたりします。それが、自分でブログを起こして「kikkaの物語」を書いている目的の一つではあるんですけれど

もしかすると、ディランも自分の手から離れた音を聞いて、彼なりに自己対象化したいと考えていたのかもしれません。

そういう意味に於いて、非常にシンパシーを感じる一枚です。

※18日3:00に一部改訂しました。

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【追記・15日7:00】
ディランですけれど、10月1日に(たぶん)3枚組・51曲入りのグレイテストヒッツを発売する予定です。もしかするとファン投票による選曲になるのかなぁ。英語が解らないので詳細が見えないのだけれど(苦笑)。

このアルバムのTrailerの出来が非常に良い。是非、見ていただきたいし、アルバム自体の購買意欲も沸くのではないだろうかと思います、ハイ。

http://www.dylan07.com/trailer.html

Dylan07

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コメント

 台風、お見舞い申し上げます。

 このアルバム、私も大好きなんですよ。(前にも書いたかな?)壊れそうでぎりぎり踏み止まっているような感じがいいですよね。音もバラバラで・・・。高校生の頃、このアルバムを買って初めて聞いたときのショック。「こんなの有りなんだ・・・。」という。(笑)
 ところで、最近このアルバムを知り合いの方にCD化してもらいまして、毎日通勤の車中で聴いています。大音量で。(大人げない)
 「レイ・レディ・レイ」を求めるファンの声。それを無視して?歌う「オー・シスター」。思わず一緒に歌ってしまいます。下手でも上手く聞こえちゃう。(笑)
 乾いたドラムの音とともに、いつ聴いても新鮮なこのアルバム。名盤だと思うんですが。

投稿: kiosk | 2007.07.15 00:53

kiosk様>

どうも、どうも。
浜松は段々と雨が強くなってきています。

>このアルバム、私も大好きなんですよ。

75年の方を紹介した時に書いていただきましたね。

>壊れそうでぎりぎり踏み止まっているような感じ

嗚呼、確かにそんな感じはありますね。
原曲をぶち壊しているアレンジもそうだし、
ジックリ聞くと酒ヤケしていそうな声もそうだし、
音質が悪いというのもそうなんだけれど、
逆にその危うさが緊張感となっている感もありますな。

>毎日通勤の車中で聴いています。大音量で。

僕もそんなんですよ>大音量。
僕は大人になりきれない人ですから(苦笑)。

>乾いたドラムの音とともに、いつ聴いても新鮮なこのアルバム。名盤だと思うんですが。

軽快さを演出していますな>乾いたドラム。
それとエントリーに書いた通りに、
"愚かな風"があるかないかで印象が全然違う。
75年のも絶好調時のディランが感じられていいけど、
かの曲が無い事で物足りなさを感じちゃう。
だから、今でも『激しい雨』の方をよく聞いてます。

投稿: kikka | 2007.07.15 06:49

いやしかし、何でリマスターが出ないかは、
本当謎だなあ。
このCDの音質は本当酷いもんがあるものなあ。
CD買った時びっくりしたもの。

投稿: 雄三 | 2007.07.15 22:35

雄三様>

>本当謎だなあ。

確かにね…なんで75年が出て、76年が出ないかと。

>このCDの音質は本当酷い

でもね、クリムゾンのアースバウンドよろしく、
音質の悪さがムチャクチャ感を増幅して良いですよw。

ディランなんてね、彼女と一緒にジャケ写に収まるし、
プライベートを題材にいろいろと曲を書いてるし、
付き合ってる彼女の影響を
(スーズ・ロトロとかジョーン・バエズとか)
もろに受けたような曲も多いし、
本当にあからさまに自分の状況を吐き出してるんだよね。
だからこそ僕らはディランにシンパシーを抱くし、
他のミュージシャンが追随できないのも
その辺りが強いからなんじゃないかなぁ。

ちなみにスーズ・ロトロとはこういう人。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%AD

フリーホイーリン〜のジャケット写真、大好きです。
非常に憧れています…別の機会に紹介。

投稿: kikka | 2007.07.16 00:48

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