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2007.01.07

今年一発目の音楽ネタ。

ジェームス・ブラッド・ウルマーは本日発送されたらしいのですが、その前に琴線に触れるアルバムがあったんで、それを紹介しようかと。

Roland Kirk /Volunteered Slavery

  Rolandkirk

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今日、年明けと云う事でいつものレコ屋に挨拶も含めて立ち寄ったのですよ。まぁ、暇つぶしという面が多分にあったんだけれど、いくつか取り置きされているCDを引き取りに行ったのでございます。

とりあえず、マイルスの『アガルタの凱歌』『パンゲアの刻印』(どちらも日本で発売時のタイトル)を引き取ったんだけれど、どうにもこの年始年末は琴線に触れるタイトルが無く、普段に聴く曲の選択にも困っていたんですよね。

年末に買ったオーネット・コールマンは楽しめたし当たりだなと思ったんだけれど、もともと「恐る恐ると買ってみた」という面が多分にあって、気分がイマイチ乗りきれなかったかもしれない(※といいつつ、オーネットの他の作品をかなり取り置きしてしまったがw)。

で、そんな話をしていたら、レコ屋の店長が「じゃ、これなんかどう?」と薦めてくれたのが、今回のローランド・カーク(77年没)でございます。

レコ屋もこっちの琴線に触れる傾向が解っているので素直に紹介したんだろうけれど、直前に「オーネットはオッケー」と伝えた後だったから、余計に「たぶん大丈夫だろう」と思ったんでしょうね。

ところで、レコ屋の口説き文句がエラく力が入っていて、仰々しかったんだよね(笑)。

レコ屋:これは黒人音楽を聴くんだったら、必ず持っていなければいけないアルバム!(断言口調で)

そんなわけで「騙されてもいいや」と思って買ったんだけれど、これが当たったかな。

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ジャズに関して若葉マークな管理人が、ネット上でそれなりにローランド・カークについて調べてみたんだけれど、なんか「ターミネーター」とか「異端」とかそんなイメージが強くなってくるような紹介の仕方が多いんですよね。

彼は幼少の頃の医療事故によって盲目を強いられるハメになってしまい、そのお陰かどうかは定かじゃないけれど他の感性が発達したのか、一人で3つも4つも同時に楽器を操るという異能を開発していくんですわ。今作品で操っている楽器はといえば、テナーサックス・フルート・鼻で吹くフルート・銅鑼・マンツェロ&ストリッチ(この二つは、一種の民俗楽器みたいなモノらしい)・そしてヴォーカル。

楽器を操る姿が非常に端から見ると異様に見える様子で、彼の音楽を"グロテクス・ジャズ"と表現する向きもいる様です。

YouTubeに彼の演奏ビデオが上がっていたので、貼り付けておきます。ちなみにこの" I say a Little Player " (←バート・バカラックが作曲した、アレサ・フランクリンの代表曲の一つ)は今作でも5曲目に入っておりますし、時期的にも今作に近い所での演奏ですので、良いサンプル映像かと。

確かに、パッと見すると大道芸人ぽい猥雑さを感じてしまいそう。見方によって千差万別だとは思うけれど、一般的にはけっこう退きそうな絵だよな、これは。

でも、そこから奏でられる音楽は、圧倒的 としか言いようがないですわ。

一応、ジョン・コルトレーンとも親交があったくらいのジャズの世界の住人ではあるけれど、今作から聞こえる音はジャズとも言い切れないし、R&Bとも言い切れないし、ゴスペルとも言い切れないし、とにかくジャンル分け不可能な音ですな。

加えて、無駄に思えるくらいの熱さも非常に感じます。とにかく、この人の存在が巨大に感じて、ジャンル云々を考える事自体が些細に思えるし、心地よい嵐に巻き込まれてしまったようなそんな感じに浸ってしまったかな。

レコ屋が云ってたセリフじゃないけれど、彼自身がそれまで体感してきた自分のルーツ(←つまり、黒人音楽の歴史)に忠実に音を出した結果が、あのゴッタ煮とも思えるサウンドにつながったんでしょう。それがカークの中で上手く消化されて独特の世界を表現できている感じがします。

今作の録音時期が68年(※ニューポート・ジャズ・フェス)なので、例えば「ブラックパワー」という言葉に象徴されるような黒人の活動が一番熱かった時期に当たります。スライ・ストーンとか、この時期のマイルスのようなヒリヒリする感覚が彼にもあります。時折聞こえる彼のスキャットが、何かに対しての咆哮を想起させる感もあります(※アルバム最後の曲=Three for the Festival なんかはそう聞こえますな)

でも、そういった時代性ばかりじゃなく、(陳腐な表現にはなりますが)ローランド・カークという人自体の存在自体が余りにも巨大で、許容量が少ない聴衆をアッサリとKOしてしまうのではないかと。それは「21世紀に初めて彼に触れた」管理人のような人間にも通用してしまうというか。

とにかく、これはロックファンが聴いてもすんなり行けてしまうアルバムでした。黒人音楽に興味のある向きは、是非とも触れてみてください。

※今回もAmazonのバナーを付け加えましたが、左2枚はワーナーミュージックから出ている「アトランティック・レコード60周年記念盤」の紙ジャケCDです。この2枚は「24bitのデジタル・リマスタリング」が施されていて、音質が既発売の分と比較してかなり良い(←レコ屋談)。購入されるのなら、こちらをお奨めいたします。

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コメント

この間お話した通り、ローランド・カークはまだ1枚だけしか聴いたことがないです。
しかも、アル・ヒブラーというヴォーカリストをフィーチャーしたアルバムなので、若干毛色が違います。
ただ、この人はサービス精神が旺盛なエンターテイナー的な側面もあるんじゃないかと、そう感じました。
とにかく、スケールがでかいイメージです。

近々、聴いてみますよ、このアルバム。
"I Eye Aye"ってライブ・アルバムも良いらしいですよ。
ちょっと、今、手に入りにくいみたいなんですがね。

投稿: piouhgd | 2007.01.09 12:53

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