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2007.01.08

点は爆発する。

いやぁ、凄い。ひたすら凄い。

まるで内蔵をえぐられるような感じがする。

Jacks1 Jacks2

※左=ジャックスの世界、右=ジャックスの奇蹟

昨年末からいろんな音楽を聴いてそれなりに衝撃を受けたんだけれど、『ジャックスの世界』の1曲目・"マリアンヌ"の出だしを聴いただけで、完全にそれまで聴いてきたモノの印象がぶっ飛んだ。

シツコイくらいに書くけれど…。

早川義夫は凄い。天才。

悲しい事に、それ以外の言葉が見つからない。自分のボキャブラリーの無さを痛感してしまった。

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というワケで、久しぶりにジャックスの音を聞いて、興奮しているところです。ちなみにジャックスってのはこんなバンドで、早川義夫って人はこんな方。

ジャックス
(※Wikipediaより)

早川義夫
(※彼の公式サイト)

ジャックスは、今となっては「日本ロックの先駆者」みたいな評価が高いバンドです。

僕が彼らに接したのは高校時代が初めて…60年代末期のバンドだから、リアルタイムでは接してません。

当時(20年くらい前かな)はジャックスの再評価の気運が高まっていた頃で、渋谷陽一のラジオ番組で紹介されたのを聴いたのが初めて。その直後に、廃盤になっていた音源からセレクションされた曲を集めたアルバムが東芝から発売され、それを発売日に近所のレコード店に勇んで買いに行ったのをよく覚えています。

それからは、もうジャックス及び早川義夫の虜になってしまったですね。

94年に早川義夫が「本屋さんを辞めて、歌手に復帰」した時もアルバムを予約して買ったし、それ以前の彼個人のアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』もCD化された際にすぐ買ったりしました。早川の歌詞や著書などの鋭い言い回し方にいちいち頷いたりしてたかな。

とにかく、管理人に影響を与えた偉人の一人でございます>早川義夫。

で、しばらく早川作品からもジャックスからもご無沙汰していたんですけれど、たまたまCM関連で岡林信康の『自由への長い旅』をBGMにしたモノを目にした事がキッカケで、岡林のアルバムのディレクターだった早川が懐かしくなり、CD化されてから買っていなかった(というか、後回しにしていた)ジャックスのアルバムを購入しようと思ったわけです。

そして、やっぱりKOされてしまったと(苦笑)。

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作品紹介をしながら、彼らの楽曲について書いてみますね。

68年〜69年の活動時期にオリジナルアルバムとして発売されたものは、今回購入した2枚という事になります。ただ、2枚目の『ジャックスの奇蹟』はバンドが実質的に空中分解してしまった後に発売されたもので、早川義夫が絡んだ作品は11曲中6曲という事になります。

Wikipediaにも書いてありましたが、ジャックスの特徴ってのは「早川の鋭い歌詞と情念溢れる歌声」と、「多彩に楽器を操る事ができる木田高介のアレンジ」の二つがあって成り立っていました。

この人達、元々は高石ともやの事務所に所属していた通りにフォーク畑から出てきた人達なんです。しかし、早川や相沢靖子(作詞担当)の前衛的な歌詞と、(曲を聴けば解るけれど)いろんな音楽の要素がゴッチャになっているアレンジとが上手く混ざり合って、それが当時のフォーク界とは違う、あるいはロックとも違う、独特な世界を展開していたんです。

もっと具体的に書くと、ある意味で後のニューミュージックの下敷きになったような早川の周囲(例えば岡林やはっぴいえんど)とも違う、内田裕也の一派に代表されるようなロックの文脈とも違う、タイトル通りの「ジャックスの世界」が確実に現出していたんですねぇ。

そんなジャックスの魅力の中でも、管理人が本当に惚れたのは「早川の鋭い歌詞と情念溢れる歌声」の方。

"信じたいために 親も恋人をも すべてあらゆる大きなモノを疑うのだ"(ラブ・ジェネレーション)

"われた鏡の中から 俺を捜し出すんだ 雑音なしの俺を 裸になった俺の俺を"(われた鏡の中から)

"燃える身体を寄せ合って 崩れていったあの夜に 裏切りの花が咲いていた"(裏切りの季節)

"心は変わりやすいけれど ほんとは何も変わっちゃ無いのさ まわりだけがぐるぐるまわるのさ"(堕天使ロック)

"君をさらって汽車に乗せ 遠いところに連れてってしまおう 汽車は煙を吐き 新しい街へ"(君をさらって)

"歯のない口からよだれをたらし 草の生えてないお花畑に 酔わせられ 酔わせられ ロール・オーヴァー・ゆらの助"
(ロール・オーヴァー・ゆらの助)

こんな歌詞が、時には叫び声のような、時には世を悟ったかのような、そんな早川の声とともに流れてくるわけですよ。それが「当時10代だった青い少年」にはグサッと胸に突き刺さるかのように聞こえてきたわけですが、それは30代後半になった今でも変わっていない。そんな音って、希有なモノです

彼の歌詞と歌声は、普遍的なモノだと感じております。21世紀になっても新鮮な気持ちで受け容れる事ができる、時代を超越したモノではないかと。

で、話を少し戻しますが、2枚目の半分である「早川の欠けたジャックス」もそれなりには聞けるんだけれど、やはり何かが足りない感が強いですな。

だから僕は、iPodには早川が絡んだ曲しか入れてません。

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早川は以前にもチラッと書いた事がありますけれど、本を何冊か出していて、ホームページなんかでも披露していますが文章の巧さも素晴らしい。独特の文体で、ユーモアも感じつつ、これも読んでいる者の心にグッと迫ってくる文章ばかりです。

"線はのびていくことができるけれど、点は、のびようがない。しかし、点は爆発する"(ラブ・ジェネレーション:自由国民社刊より)

これ、僕の好きな一節です。彼の解釈と一緒かどうかは解りませんが、確かにジャックスというバンドは「点で爆発した」かのように作品を残し、去っていった感もあります。

人はどちらかといえば長く生きていく事を望むモノです。その感情はその感情として、一瞬の刹那に全てを賭けるような生き方も存在する事も事実。それを彼なりに簡単に表現した言葉かなと解釈しています。

"寂しいから歌うのだ。悲しいから歌うのだ。何かが欠けているから歌うのだ。精神が普通であれば、ちっともおかしくなければ、叫ぶ必要も心をあらわにする必要も楽器を震わせる必要もない。歌わざるを得ないから歌うのだ"(早川義夫公式サイト・エッセイ4より)

この言葉に一つ付け加えたい。

聴く側も「普段の生活に何らかの異質なモノを感じ、欠落しているモノを補うために音に向かう」んです。

それはそうと、こういった批評眼の鋭さ、自覚を持っていると云う事が、早川の表現者としての優れた点ではないかと。いちいち頷かざるを得ないくらいに圧倒的で、自分の強さも弱さも含めて素直に吐露してしまうところ、そしてそれが愚痴に終わらずに第三者的な眼を以て見つめているところ、これはなかなか真似できない。

彼の音楽、そして書いたモノをフィルターにして自分を見る事が多くなっている、今日この頃です。

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コメント

あけましておめでとうございます。

早川義夫でしたか・・・「点は爆発する」

なるほど、とうなづきました。もちろんジャックスは、松村雄策経由の後追いでしかないわけですけど、「からっぽの世界」は衝撃でした。まさに「爆発する点」で、そこにかかる負荷の凄さにたじろいたというべきか。当時の小娘にはすごすぎて、続けて聞くエネルギーがなかったというべきでしょうか。

のちに「ぼくは本屋のおやじさん」を読んで、別の意味でファンになりましたが。

最近、福岡の草音楽家のカバーで早川義夫に触れる機会が多く、聴き直してみようかなと思っていたところです。

投稿: ピノ | 2007.01.09 10:53

ピノ様>

>あけましておめでとうございます。

もう、お互いに何度この言葉を交わしたか(笑)。
ま、今年もヨロシクおねが(以下略)。

>早川義夫でしたか・・・「点は爆発する」

もしかしたら、知ってるかなって思ったんだけど。
まぁ、絶版した本の一節だからなぁ(苦笑)。

>松村雄策経由の後追いでしかないわけですけど、

僕が渋谷で、あなたが松村という、
見事なまでに「ロッキングオン」の人脈に
影響を受けてしまっているなぁ(笑)。
ただね、この二人が早川に固執する理由は解るし、
早川自体が24年間音楽の世界に不在だっただけに
復帰を渇望されてた事があったんでしょうけどね。

>「からっぽの世界」は衝撃でした。

実は、そんなに好きじゃないの>からっぽの世界。
非常に抽象的で、入り込めなかった。
どちらかといえば、エントリーに挙げたような
歌詞に具体性のある感じのモノが良かったかなと。

>当時の小娘にはすごすぎて、

当時の若造にも凄すぎたですよ(笑)。

>「ぼくは本屋のおやじさん」

この人、本当に文章が巧み。
ジャックスの世界の紙ジャケ盤だと、
彼の「JACKSのLPのための原稿」っていう
ライナーノーツが読めるんだけれど、
これも本当に鋭い。
ひねくれ拗ねてる様な文に見えるんだけれど、
案外、当時の早川の心境としては
素直な心境がまんま書いてある感があります。
宜しければ、エントリー中にリンクした
早川の公式サイトに行ってみてください。

これはエントリーの補足ですが、
ジャックスで好きなナンバーを挙げておきます。
基本はアップテンポな感じの曲が好きです。
・ラブ・ジェネレーション
・われた鏡の中から
・裏切りの季節
・マリアンヌ
・どこへ(ヴォーカルは木田高介)
・堕天使ロック
・ハウ・トゥ・ラブ
・この道(←今、CD化されてるんだろうか?)

投稿: kikka | 2007.01.09 14:12

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