« 資生堂のCMを語ろう。 | トップページ | ビビリました、焦りました、察して下さい。 »

2006.09.04

恐るべし、資生堂。

前エントリーから舌の根も乾かないうちに書きますが

恐るべし、資生堂(笑)。

先週の杉山登志のドラマの中で、「全編90秒」という長いCMが一本だけ流れました。

資生堂 企業広告 "新しい私になって"篇

※クリックするとWMVストリーミングが始まります。

 5

「さり気なく、なおかつ力強い」メッセージが託されている、素晴らしいテレビCMです。 是非、ご覧あれ。

ちなみにモデルはMAIKOさんという新進の方(※普段はファッションウォーカーとかの仕事が多いみたい)

バックに流れる『新しい私になって』熊木杏里が歌と作曲、中島信也(東北新社CMディレクターで、数々の国内外の賞を受賞)の作詞。

で、詳細が確認できませんが、たぶん中島信也がディレクターを担当している「映像作品(←敢えて、こう書かせて)」だと思います。

曲に関しては、作詞を考えると間違いなくCM用のみとして作られてますね…たぶん、CD化されて発売される事は無いと思います(笑)。熊木嬢のライブとかでは聞く事が出来るかもしれないけれど。

そして、CM自体が流れる事も、本日の資生堂提供の番組(←おしゃれイズム)を見た限りではごく僅かだと思われます。企業広告ですから当然といえば当然なんですけれど、もっともっと流して欲しいCMではありますね

---------------------------------------

ここからは内容に触れていきます。

このCMなんですが、「化粧品によって日常を明るくする」という資生堂の企業としての意志が見事に反映している、非常に優れたCMです。

1 2

3 4

あらすじは「失恋して悲しみに暮れる女の子が、顔を洗って化粧をする事で(少しでも)失恋のショックから立ち直る事が出来た」という話。ほぼバックの曲の通りのあらすじではありますが、そこから資生堂のこんなメッセージが見えないでしょうか?

"人生において些細な事かもしれないけれど、化粧をして一瞬を美しくする事によって生活が楽しくなり、それを続けていく事で一生も楽しくなる"

MAIKO嬢の表情が、鏡台の前に座って化粧をしていってから柔らかく変わっていく…そんな光景が非常に美しい。

そして、光の加減の変化で効果を増幅しています。最初は影が多かった画面が、徐々に光に溢れる画面へと転換していく事で、希望の光に満ちた「新しいわたし」を表現しています。

光とかフィルムの質とか、かなり贅沢にこだわったCMですね。

商品と違い、CMで企業理念をアピールするのは難しいです。が、質にこだわる事と、空間の時間軸をゆったりさせた事で、上記の「企業としての意志」が逆にクッキリと浮かび上がってきます。

難しいテーマを見事に表現した、良質のCMだと素直に思います。そして、資生堂のCMの特色である「さり気なさ」が、見事に活かされています。

---------------------------------------

前エントリーでも書きましたが、資生堂のCMには「化粧品を"単なる大量消費財"と捉えずに、生活を前向きにしていく道具として表現されている」という印象が強くあります。そして、今回の『新しい私になって』は、その系譜に連なるモノである事は間違いありません。

でも、ふと過去CMを振り返ってみると、資生堂ってのは(企業広告だけでなく)一般の商品でも同じ様なコンセプトを見せていたハズです。

出来、不出来はありますけれど、高級化粧品から始まって石鹸などのトイレタリー商品にいたるまで、資生堂の強固な意志が全商品の全CMに反映されていたんだと考えています。

TSUBAKIのCMは、もしかすると「"シャンプー市場での巻き返し"が念頭にあった為に、焦って作ってしまったのではないか」と思えてきました。加えて、近頃のCMは、曲のタイアップとか豪華な芸能人の登場とかがメインになってしまい、消費者をアジテートするような強烈な作品が生まれていません。それも商業的なところを始めとして、全般的に余裕が無くなっているからなのかもしれません。こういった傾向を残念がる向きは、かなり多いのではないでしょうか(※特に、僕のようにCMを映像作品として捉える人間にとっては)。

でも、僕は『新しい私になって』で、改めて資生堂という企業の底力を見た気がしました。

不特定多数の女性に向けて語りかけたCMではあると思いますが、僕のような男性にとっても響くところがあるモノでした。MAIKO嬢が闇から抜け出していく光景に、何かを当て嵌めて考えたりしてました。

優れたCMってのは、視聴者にとっての「いろいろな意味」を背負っていくものだと思います。それは商品との出会いも同じだと思いますし、だからこそCMの制作側は、こんな視聴者の思いを念頭に置いた作品を作って欲しいと、切に願っています。

『新しい私になって』は"特別なCM"に値すると考えているところです。

|

« 資生堂のCMを語ろう。 | トップページ | ビビリました、焦りました、察して下さい。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100929/11752810

この記事へのトラックバック一覧です: 恐るべし、資生堂。:

« 資生堂のCMを語ろう。 | トップページ | ビビリました、焦りました、察して下さい。 »