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2006.08.19

Thom Yorke / The Eraser

夏の音楽ネタ・その2は、Radioheadのヴォーカルとしてお馴染みのトム・ヨーク彼の初ソロアルバムを取り上げてみました。まぁ、発売直後にすぐに購入してたんですけれど、ネタをあたためていた形になってしまいました(苦笑)。

 Eraser

ここにはRadioheadのファンの方も訪れているので先に書いておきますが、僕はそんなにキャリアの長いファンじゃありません。ハッキリ書くと『OK Computer』から聞き始めたクチです。その分、熱狂的なファンの方とはかなり温度差があると思いますが、その点はご了承下さい。

で、今作を聴いてみると、エレクトロニクス満載の曲調で、ミニマルミュージック(反復音楽)的な要素も満載という、Radioheadのバンドサウンドとは全く別の「トム・ヨークが個別に持っている音楽」の楽曲集という感じですか。

聞きようによっては『KID A』を思い出したけれど、あれよりは颯爽と身軽になって奏でている印象があります。それは「バンドとして提示したアルバムと、個人として提示したアルバムとの差」ではないかと思っていますが。

ただ、『KID A』当時のトムのインタビューでは「ロックに対する嫌悪感」が書かれていた覚えがあります。間違いなく彼のアルバムはロックの文脈を引き継ぐ形で作られていると思うのですが、もしかすると、彼個人はバンドサウンドとかそういうモノもひっくるめた部分で幻想から醒めちゃってるんじゃないかな…と邪推しているのですが。別のモノを指向した末に、OK Computer以降の道筋が始まっていったのではないかと。

そういう私的なイメージも合わせて書いちゃうと、「もう、一人でやった方が良いんじゃないの?」という感じです。

OK Computer、KID A、そして今作と、出だしが不協和音を奏でる感じで始まります。その不協和音がトム自身の内なる何か(※個人的には周囲や世間への違和感と感じていますが)だと仮定すると、それはバンド活動と並行してずっと抱いていたことではないだろうかと。

全世界でチャートを席巻し、ライブでも圧倒的な観客動員数を誇るRadioheadというモンスターバンドから離れてトムの嗜好だけが提示された事で、「彼が奏でる不協和音が、より鮮明になった」という印象が強いです。

さり気なく聞こえるし、彼自身も「バンドと別の私的なモノ」と言っているようですが、彼の自我はバンド活動と並行できないくらいに肥大してるんじゃないかと考えています。現在はバンドと一緒にツアーに回っているそうですし、来年にバンドとしてのニューアルバムも発売される予定だそうです。でも、なんかパンパンに張り詰めてるんじゃないかなぁ…などと勝手な想像をしてしまったんですけれど。

逆に「こうしてソロアルバムを出した事で、ガス抜きになった」という可能性も否定できませんが、さてどうでしょうかねぇ。

Eraserは非常によろしいアルバムだと思います。7月末の上京時に、iPodでよく聞いてました…特に電車に乗っている時にね。「聞いているうちに、だんだんと気が遠くなる感じ」が好きです。

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コメント

こんにちは。
次はこのアルバムについて書こうと思っていたのですが、先を越されました~。
別に競争してるわけじゃないですけど(笑)。

書かれていることに大筋で同感です。私は、バンド「でも」、まだやって欲しいと思っていますけれどもね。

投稿: glasshouse | 2006.08.20 10:47

glasshouse様>

>先を越されました~。

というかね、
そちらでやらないのが不思議だったんですが。
書いたら絶対に来るだろうな…ってのは、
まさに「想定の範囲内」でしたけれどね(笑)。

>書かれていることに大筋で同感です。

とりあえず、ホッとしました。
Redioheadのファンの方が見たら、
いい気分はしないだろうなと思ってたから、
尚更でございます。

じゃ、Paul Simonだったらいいのか!
…などという話もありますが、それはそれ(苦笑)。

>バンド「でも」、まだやって欲しいと思っていますけれどもね。

この辺、やっぱり温度差があるんですよ。

正直書くと、上に上げた3作と、
KID A以降に発売された2作を比べると、
なんかトーンダウンして聞こえるんですよ。

たぶん、トムの元々の嗜好が、
一歩間違えたら
アンビエントにもつながりそうなところに
あるからじゃないかなと考えてるんですが。
そうでなければここまで完成されたモノを
提示できないし、
同時にバンドでは上手く発揮する術が
(現状では)無いからじゃないですかねぇ。

<追伸>
イーノファンだったら、
Paul Simonは買った方がいいよー(笑)。

投稿: kikka | 2006.08.20 13:08

>そちらでやらないのが不思議だったんですが。

そうですねー(笑)。
7月中はPCトラブルとフジロックの準備でiPodに入れることもままならず、フジから帰ってきてしばらくはKula Shakerモードから抜けられず、ようやく最近じっくり聴き込むことができたのでした。

>KID A以降に発売された2作を比べると、
なんかトーンダウンして聞こえるんですよ。

こちらも実は同感ですが、amnesiacはKID Aと同時期にレコーディングされたものなので、バンド自体の充実ぶり(モンスターぶり)は同じはずなんですね。KID Aと比べると小粒な印象があるのは、アルバム全体でひとつの世界を作っているKID Aと違って、1曲1曲で完結しているからではないかと思います。

Hail To The Thiefに関しては、バンドが目指していたものと、出てきたものにズレが生じていたように感じています。でも今回のソロで、トムひとりでやった方がいい音楽と、バンドでしかできない音楽の境界がはっきり整理できたのではないかと思うんですよね。だから、トムソロ以降のレディオヘッドがバンドとしてどんな音を出してくるのか、興味があるわけです。まあ、そこで出てきた音がいまいちだったら、「もう、一人でやった方が良いんじゃないの?」と思わざるを得ないでしょうけどね。

おっと、こんなに書いちゃって、自分の記事に書くネタが残るのか?(苦笑)

Paul Simonの新譜は気になってました。kikkaさんの記事を見てますます「買わなきゃ」と思いました!

投稿: glasshouse | 2006.08.20 17:36

glasshouse様>

もう、その辺にした方が(笑)。
Redioheadファンとしての常識というのかな、
それを書いていただき恐縮です。
が、ここで書いたら、
マジでネタが無くなっちゃうって(苦笑)。

KID Aとamnesiacが同時期に録音された事は
資料とかで一応は解っていました。
でも、バンドの才能って
構成の巧みさというのも含まれるはずで、
それがKID Aを挟んだ事で萎えちゃったかなと。
で、それを引きずるような形で
Hail To The Thief に突入したのかと想像しましたが。

>今回のソロで、トムひとりでやった方がいい音楽と、バンドでしかできない音楽の境界がはっきり整理できたのではないか

それがイコール「ガス抜き」なんですよね。
たぶん、トム自身はこのアルバムに
そういう役割を与えようとしていたはずです。
いろんな所での発言を伝え聞く限りはね。

ただ、このアルバムの音を提示してしまったのは、
表現方法として「Radioheadのアンチテーゼ」を
敢えて設定したともいえませんかねぇ?
だからこそ「自我がパンパンに膨らんでる」って
そんな表現をしたんですけれど。

>トムソロ以降のレディオヘッドがバンドとしてどんな音を出してくるのか、興味があるわけです。

それはバンドとしての共同幻想を維持するだけの
動機付けが出来るかどうかによるのかなぁ。
少なくとも前作を聞く限りは、
溝があったかなという感じでしたが。
さて、どうなるんでしょう…来年発売のアルバムは。

いろいろ書いてきましたが、
僕はトム・ヨークが一人になった姿を
見てみたいだけかもしれませんね。

派手さはないけれど、
バンドよりも可能性を感じたアルバムに聞こえました。

投稿: kikka | 2006.08.20 23:07

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