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2006.08.19

Paul Simon / Surprise

久々に音楽ネタ…日曜日(20日)あたりまで、3連発で行きたいと思ってます。

最初のお題はポール・サイモン『Surprise』

 Surprise_1

先に書いておきますが、僕はポール・サイモンに関しては特に興味がありません(爆)。彼のファンの方がいたら申し訳ないのですが、正直な気持ちなので仕方がありません。

もちろん、サイモン&ガーファンクルがポピュラー音楽史に残る偉大なデュオグループだと云う事は承知してますし、サイモンのソロ活動もそれなりの実績がある事も解っていますが、正直書いちゃうと「琴線に触れる事が全くなかった」という事ですわ(苦笑)。

そして、彼に対して逆に腹立たしく思っている事があります。それは86年に発売された『Graceland』について、「今までワールドミュージックとか民俗音楽に少しも感心を示す事がなかった人間が、唐突に流行を取り入れてアルバムを作った」という印象を持った事です。

リンクを貼ったWikipediaにも「音楽そのものを南アフリカから”盗んだ”とも非難され」なんて記述がありましたが、僕も「何の個人的解釈もなく、単純に材料としてアフリカ音楽をピックアップしてきた」事に対して、アメリカ人(彼はユダヤ系ですが←問題発言か?)特有の傲慢さを感じたんです。

その頃の僕自身が、キング・サニー・アデ(※注)とかユッスー・ンドゥールとかを聞きかじっていた事もあって、彼ほどの著名なアーティストが「脈絡もなく植民地主義的にアフリカ音楽をピックアップしてきた事」に怒りを感じてしまったワケです(←当時は、僕も青かったんですよw)。

オマケに、90年に発表された『The rhythm of the saints』で、今度はブラジル音楽を単純に取り込みます。その事で、更に呆れてしまって(苦笑)。

こうして、サイモンの音楽(サイモン&ガーファンクルも含め)からは完全に距離をおく形になりました。

※注:キング・サニー・アデの紹介(リンク)は、「ロック世代のポピュラー音楽史」さんのモノを貼り付けさせていただきました。

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ただ、5月に発売された今回のアルバムは周囲で案外評価が高くって、奨められる事が多々あったんです。いつものレコード屋でも「ポール・サイモンって、要る?」と聞かれましたし、雄三さんにも同じ事を言われたかなぁ(笑)。

それをずっと不思議に思っていたけれど、16日にレコ屋に行った際にジャケットを見て理由が解りました。

なんと、今回のアルバムは…
ブライアン・イーノとのコラボ(驚)。

それで、みんな奨めてきたのかぁ…その事実を、最近まで全く知らなかった(苦笑)。

「でも、サイモンのアルバムだからどうしようかなぁ」などと1時間ほど散々迷った挙げ句、サイモンではなくイーノを信用して購入した次第(笑)。

で、さっそく水曜日から聞いてるんですけれど、ファーストインスピレーションを簡単に書くとこんな感じです…曲は全編サイモンが書いてますが、これは明らかにイーノ主導のアルバムにしか思えない(←と、勝手に断言)。

今作でのイーノの肩書きが"Sonic Landscape"などとクレジットされていて、「その役割はいったい何じゃ?」と首をひねりました。プロデューサーはサイモン自身が担当している形です。だから、プロデューサーとして名高いイーノが一歩引いた形になっているのか、或いは別の役割が与えられているのか、サイモン色が強かったらどうしよう…と不安に思ってました。

が、アルバムを聴いて納得。

イーノの"Sonic Landscape"という役割は、Landscapeという英単語の直訳である「景色・景観・風景」というのを持ち出せば解りやすいと思いますが、要はサイモンの曲に「音楽的な風景を設定する」という意味合いがありますね。

もっと簡単に言えば、コンダクターとアレンジャーを合わせた役割を担っていたと。
その役割に対して「風景」という言葉を持ち出す事が、「アンビエント・ミュージックを標榜してきつつ、数々の名盤をプロデュースしてきた」ブライアン・イーノに対する、サイモン流の素直な賛辞と思えたのですけれど。

アルバムの中身は、ミニマル調や浮遊感漂う様なイーノ独特のシンセの音が聞こえてくる曲が多いですが、決して自己主張せずにサイモンのパーソナリティーを上手く活かしている感があります。これは、昨年発売されたイーノ自身のアルバムに通じる所があるかな。

結構、長い間に渡って聞く事が出来るアルバムだと思います。イーノのリーダーアルバムと同様に、ジワジワと来るんじゃないですかね。

ポール・サイモンの評価はともかく(苦笑)、私的には「イーノへの評価がまた上がった」という良い出来のアルバムでございました。

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コメント

いやあ、良く出来た解説でございました。
でもまあ音楽の繋がりと言うのも、
意外と解んないから先入観を捨てて、
「だってこれ良いもん」と言えるように成りたいもんですなあ。
だってロバート・ワイアットがインタビューで、
「最近音楽関係でずーっと話してる野は、(交流があるのは)
ブライアン・イーノ位でそんなに交流があるわけじゃないからねえ」
と言ったその後に、
「ジャネット・ジャクソンの歌は良いねえ。
あれは良いよおお。(しみじみ)」
なんて言ったりするからなあ。
ジャネットなんてアータ、
あんな歌が下手な歌手聞いた事無いって位ヘタだったんでデビューの頃以来、
聞いたコタア無かったんですが、
これ読んで、
ああ、素直に聞かなくちゃあなあ。。。。
と思った次第です。
でもまあジャネットは好きじゃないですけどね。。。

投稿: 雄三 | 2006.08.19 09:27

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005HGRE/sr=1-1/qid=1155956057/ref=sr_1_1/503-3716138-0479153?ie=UTF8&s=music

「時の流れに」
私、このアルバムだけは大好きなんですよ。どれくらい聞いたか分からないくらい、それこそレコードがすり切れてしまうくらい聞きました。
ちょうど大学入試をひかえていたころで、受験勉強に疲れ切った心身を癒してくれたのがこのアルバムです。
中でも、トゥーツ・シールマンスのハーモニカは何度聞いても聞き惚れます。

ということで、ポール・サイモンは好きな私ですが、「グレースランド」以後は聞いていません。「グレイスランド」で、「あれっ?」と思ってからどうも離れてしまって。

久しぶりに聞いてみましょうか・・・。

投稿: kiosk | 2006.08.19 12:07

雄三様>

>いやあ、良く出来た解説でございました。

だいたい、先に言った様になったでしょ?

>意外と解んないから先入観を捨てて、
>「だってこれ良いもん」と言えるように成りたいもんですなあ。

そう言いたいモノではありますが、
作る側の姿勢って音に反映されるから、
その辺は微妙なところだと思いますがねぇ。

いつものレコ屋とも話したけれど、
Gracelandはバックの音はピカイチというのは
考えが一致しているんですよ。
ただね、ポール・サイモン名義で出してるんだから、
何らかの個人的解釈があっていいハズだけれど、
それが見えなかった事で、
やはり単純に流行りに任せたという印象は
ぬぐえないモノになってしまいましたね。

例えば右の欄にあるイーノのアルバムや、
民族音楽導入の第一人者であるピタガブは、
彼ら独自のフィルターは通してるんですよ。
だけど、Gracelandからは
フィルター自体も見えなかったかなと。

素直に聞いてこれなんだから、
まぁ仕方がないということで(苦笑)。

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kiosk様>

>ポール・サイモンは好きな私ですが、

何となく、あなたの範疇の音楽かなと(笑)。

結構、プロテストソングっぽいモノとか、
いろいろあるんですけれど、
ディラン程の崇高さがあるわけでなし、
ジョニー・キャッシュ程の反骨心があるわけでなし、
"どっちつかずの人"という印象が強いかな。

>「グレイスランド」で、「あれっ?」と思ってからどうも離れてしまって。

所謂ファン層からも
そういった声が出てきてしまうわけだから、
やっぱり辻褄が合ってなかったんですよ。
談志師匠の話に共通してくるんだけれど、
自分の立ち位置を考える風情がないんだよな。

これ、評価の際には重要なポイントですよ。

投稿: kikka | 2006.08.19 13:42

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