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2006.07.18

中田英寿 について(その1)

先日の「中田引退」に関するエントリーの中で、彼が過去に出演していた『日清食品・ラ王』のCMが話題になった。

で、ネット上を徘徊していたら、けっこう落ちてるんですねぇ…ラ王の動画。とりあえず、シリーズのうち3本ほどを捕獲してしまいました(笑)。

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たぶん、仲良しの前園とラ王のCMに出演した頃が、彼のマネージメントを担当している次原悦子女史率いる''サニーサイドアップ''と契約した頃に当たるんじゃないかなぁ。

今でこそイメージ戦略の一環として、「スタイリッシュな風情」を用いるという、日本のスポーツ選手としては革新的な露出の仕方をしている。けれど、当時は「いかにもスポーツ選手的ないじられ方」(←後述)をしている事が解る。

ハッキリ言って台詞回しとかは大根なんだけれど、それでも賢明に仕事をこなそうという部分は好感が持てるかな。ひょうきんさを感じさせる台詞回しもあるんだけれど、やっぱり本職じゃないからスムーズじゃないんだよねぇ(笑)。ま、いろんな意味で初々しさは感じるけど、当時は「よく仕事を引き受けたなぁ」と感心したモノだ(笑×2)。

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これって、三浦カズなんかもデカビタのCMでコミカルなヤツをやってるし、ゴン中山なんかも似た感じのCMをやってるんけど、その系譜に連なっているモノの一つですな。

プロスポーツ選手が「CMで親しみやすさをアピール」するって構図は、これは日本のテレビCM文化が始まってから一貫している。今でもガンバの選手とかが、どことなくナンセンスな雰囲気のするようなCMに出演しているし、他スポーツの選手もバラエティっぽい「笑い」を演出する事で親しみやすさを前面に出しているケースが多い。

スポーツ用品のCMなどは、さすがに選手個々の現場での真摯な振る舞いがテーマになるし、プレー自体がテーマとなっている。が、他業種の宣伝を見てみると「ニッコリ笑って商品名をアピール」みたいな簡単なモノに始まって(※長嶋のいろんなCMとか王さんの亀屋万年堂なんかが代表的)、80年代の掛布(金鳥のコックローチ蚊取りマットは有名)あたりからはコミカルなモノが多くなってきている。イチローのCMも、最初の日産のヤツとかはそんな感じだったかな。

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中田がフランスW杯を目指す日本代表に名前を連ねてからは、徐々に「スポーツ選手のスタイリッシュなCM」が増えてきたような感がある。現代の子供達が素直に格好良さに憧れる事が出来るだろうし、いい傾向かと思う。そういう意味では彼は先駆者である事は間違いない。

彼の存在ってのは、Jリーグ発足以来ビジネス色が加わっていく日本サッカー界、その中の登場人物としてはエポックメイキング的な存在だと思う。プレー以外の部分での管理が全くなっていなかった日本のプロスポーツ選手が、プロとしてのイメージを維持していく事に感心を持ち始めた事は、僕個人としては好意的に見ている。

タレント事務所とかにマネージメントを任せる方法論もあるけれど、それだと前記のようなコミカルないじられ方というケースに落ち着いてしまう(苦笑)。だから、中田の取り巻きが「プロスポーツ選手らしさ=イメージに威厳を持たせる」という方法を採った事は革新的であったし、威厳を持ったイメージの維持が「芸能人化したスポーツ選手」という(悪しき)流れとは一線を画している、そういう部分は評価すべきだと思う。

だけど、中田の場合はそれだけで終わっちゃった様に見える。

徹底して自分本位にする過程で、逆に「悪い意味での商業主義」に飲み込まれてしまった感もある。そして、対世間においてバランスが取れなかった感もある。なにより彼の肉声が届かなくなってしまった…という歪みも顕著になっている。

作ろうとしたイメージに乗る形で海外進出をしていくのだが、最初に入ったセリエA・ペルージャで実績を残し、その後はローマなどの著名なクラブへの移籍を指向していく。だが、試合の出場機会が年々激減していき、選手としてのコンディションの維持や試合勘がイマイチ掴めないというデメリットが露わになってくる。

努力で身につけた才能か、天賦のモノがあったのか解らないが、少なくとも日本サッカーの歴史の中に於いては傑出した選手だったと思う。

だけれど、より大きくなる過程に於いて、自己及び周囲が作ったイメージに囚われすぎて首を絞める結果になって行く。高額な移籍金がネックになってチームを渡り歩く事が上手く行かず、キャリアを縮めていく事につながったのではないだろうかと悔やまれる。

仮に体力が衰えていたとしても、実戦をこなしながら融通を効かせる事を覚えていく事だってあるだろう。だけど、ジャンルへの執着心よりも自分のイメージにこだわったために、それが出来なかった。

以上の事から、30間近での引退をしなければならなくなったんじゃなかろうか。そして、多種多芸な性格もあって、プロサッカー選手としての立場を放棄する事も「比較的にアッサリ」と出来たんじゃ無かろうか。

仮に、ラ王のままのイメージで突き進んでいったのならば、前園みたいに執着心を見せたんじゃないのかな…なんて思うのだが。結局、サッカー以外の部分が大きくなっちゃったから、本業がどうでも良くなっちゃったんだろうなぁ。

そして、自分本位に進んでいた彼は、「W杯の開催期間中に引退宣言を行う」という愚挙を犯してしまう。

その辺りの気遣いの無さが、結局は彼の行動の説得力の無さに繋がってしまう。バランスが取れない人間は、何やっても希薄に見えちゃう…本人がその事に自覚的ならば、もう少し惜しまれて引退できるのにねぇ。

だから、僕にとって彼の引退劇は「どうでもいい事」だし、逆に「怒りの琴線に触れた出来事」になってしまったようだ。

一時代を築いたサッカー選手に対して、これは寂しい。

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