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2005.10.15

Miles Davis / Miles In The Sky

60年代クインテットによるアコースティックだけのサウンドに終演を告げる、新たな方向性への一歩を踏み出した作品。「ロックとエレトリックを導入した〜」と紹介され、画期的アルバムと評された人気作。ジョージ・ベンソンの参加もその後のギター・サウンドを重視するマイルスの方向性を既に示している。

※Sony Music カタログ紹介文より

 inthesky

マイルス・デイヴィスのSony Music(旧Colombia Record)在籍50周年を記念して、デジパック仕様のアルバムが怒濤のように発売されている最中なのだが、その内から2枚ほど購入した。

一枚は"Water Babies"、そしてもう一枚が今から紹介する"Miles In The Sky"だ。

上の紹介文にも書いてある通りに、それまでアコースティック楽器のみでプレイしていたマイルスのクインテットが、今作からはハービー・ハンコックがエレクトリックピアノを導入した。
マイルスの当時の状況を振り返ると、ハービーのエレピをキッカケとして次のアルバム"Filles De Kilimanjaro"でもチック・コリアが参加したりして徐々に電気色が強くなり、最終的には"In The Silent Way"、そして大ヒットアルバムである"Bitches Brew"へと繋がっていく。

その先駆けともなったアルバムこそが"Miles In The Sky"だ(←という事でいいのかな? 専門家の方、解説よろしく)。

どちらかといえば自分自身がロックファンなので、通常はジャズ的要素が強いアルバムってマイルスに限らず敬遠しがちではある。ただ、彼の"Milestones"なんかは軽快なリズムに乗っていたりして、案外すんなり聞けたりするのだが。
やっぱり、リズムにスピード感が無いとダメなのかなぁ。リズム認識の違いってのは、音楽を聴く時に大きな要素であるなぁと常々思う事が多い。それを思う時ってのが、実はマイルスを聴いている時とほぼイコールだったりするのだが。

何せあの名盤"Kind Of Blue"ですら、長時間聴いていると退屈になって来ちゃうくらいだから(←暴言スマン)。

だから、フュージョンとかファンクとかロック的な要素とかが入ってカオスの状況を作っていく「Bitches〜」以後に比べると、まだまだ本作なんかはジャズの文脈だけで語るべき作品なのかなと思っていた。

でも、このアルバムは聴いていて全く苦にならない。非常に心地よく聴いている。昨日から、もう10ターンぐらい聴いている(笑)。

この飽きの来なさ加減は、例えばジョージ・ベンソンがエレキギターを、ロン・カーターがエレキベースを弾いているからいいのか、あるいはハービーのエレピが聴きやすくする効果を持っているのかハッキリした事は解らない。この辺のアルバムを体系づけようとしても、自分自身はジャズの素養が全くない人間なので頭はこんがらがるばかり。

そこで、解説書も合わせながら聴いてみる事にした。

例えば一曲目の"Stuff"では、モータウンサウンドばりのグルーブ感が楽しめる。17分続く曲で、激しいドラミングを見せているトニー・ウイリアムスの貢献度は大だ。
彼のドラミングは、その後もアルバム終了まで延々と続く。ジャズと言うよりは、どちらかといえばロックなどのポップソングに歩み寄っているのか、あるいは上手く解釈をしてマイルス及びクインテットが自らの血と肉へと消化(昇華)させていったのかというところだろうか。
それにしても、EL&Pとかで叩いても違和感がないダイナミックなドラミングですこと。勿論、カール・パーマーよりは圧倒的に上手いですがね(笑)。

嗚呼、もしかするとマイルスがファンクやロックに近づいていったのって、一番顕著に表れているのはドラミングに代表されるリズムの認識が変化したからなのかなぁ。電気楽器にばかり囚われていたけれど、改めて発見して個人的にはご満悦(←ニンマリ)。

既に常識になってる話なのかもしれないけれど、なんか頭の中がスカッとした気分になりました。


  

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コメント

お、いよいよ始まりましたね、マイルスシリーズ。
自分のブログのタイトルをマイルス絡みにしているにも関わらず、実はこの2枚まだ聴いてません。(笑)

>その先駆けともなったアルバムこそが"Miles In The Sky"だ

エレクトリック楽器の導入ということでは、このアルバムが最初で間違いないと思います。
今思うと、ちょっと異質に感じるジョージ・ベンソン(整形前)なんかが参加しているのが面白いですね。

マイルスのリズムへのアプローチの変化ってのはあると思います。
その時々で”クール”だと感じたものを取り入れたに過ぎないんでしょうが。
トニー・ウィリアムスもその後、自身のバンドでジャズロック的なことをやってますからね。
でも、面白いのが、このアルバムの後くらいにトニー・ウィリアムスはマイルスのバンドを離れてるんですよね。
"In A Silent Way"のレコーディングには参加しているんですけど。

もし良かったら、レンタルでも何でも良いので、'Four' & Moreというライブ盤を聴いてみてください。
トニー・ウィリアムスが大暴れしていて、ジャズ的なスピード感が味わえます。
"Kind Of Blue"の1曲目を飾る"So What"も笑ってしまうくらい早い。(笑)
この辺と聴き比べてみると面白いんじゃないでしょうか。

投稿: piouhgd | 2005.10.16 01:47

pio様>

>お、いよいよ始まりましたね、マイルスシリーズ。

ハッキリ言って初心者の意見だから、
こうやってエントリーしていいものなのかどうか(苦笑)。

>実はこの2枚まだ聴いてません。(笑)

なんでやねん!
少なくとも「Miles In The Sky」は聴いてると思ってた。

>ジョージ・ベンソン(整形前)

カッコ内が余計だというか(苦笑)。
2曲目の"Paraphernalia"で活躍してますね、彼。
この作品でギターサウンドに目覚めたから、
後々マクラフリンとかを使おうと思ったのかなぁ?

>リズムへのアプローチの変化ってのはあると思います。

エントリー内には書かなかったんだけれど、
もしかするとウェイン・ショーターの存在って
大きかったのかなぁ…って思ったんですよ。
彼って言うまでもなく「ウェザーリポート」の創始者だけに、
元々ロックとか対岸のモノに興味が大きかったんじゃないかと。
彼の影響もあって、マイルスも感化されたって事はないかなぁ?

>'Four' & More

了解。
60年代のカルテットのライブ盤ね。

>"So What"も笑ってしまうくらい早い。(笑)

これは確かに聴きどころかもしれない。
あの曲をどうやって早く処理するんだろうな(笑)。

投稿: kikka | 2005.10.16 02:41

一つ訂正。

>彼って言うまでもなく「ウェザーリポート」の創始者

これ、ショーターじゃなくって、ジョー・ザビヌルですよね?

投稿: piouhgd | 2005.10.16 09:15

pio様>

ショーターって絡んでなかったっけ?
いやぁ、もしかするといつものレコード屋と合わせて
二人とも勘違いしている可能性アリ(笑)。

ショーターのジャズ世界での評価って、
伝統的な流れを壊しちゃった人ってモノですよね。
僕の方が話がそれとゴッチャになってるのかなぁ。

ウェザーリポートでは「ジャコ」の音しか聞いてないし(笑)。

投稿: kikka | 2005.10.16 12:32

追記です。

ウェザー・リポート自体はショーターと、
後にマイルスのアルバムに参加するジョー・ザビヌルとが
アイデアを出し合って結成されたという解釈でいいのかな?

かのバンドの創始者うんぬんは別にして、
マイルスのクインテットに参加した事がなければ、
二人の邂逅とその後ウェザーリポートという場への発展に
結びつかなかったんだろうというのは感じられました。

他板でこの辺りの時代の記述を検索しましたが、
クインテット時代はショーターが
音楽的にリードしていたというのが定説みたい。
ただ、マイルスがバンドマスターなワケだから、
彼自身のリズムなり音なり認識の変化がなければ、
ショーターの意志は通らなかったでしょうけれどね。

投稿: kikka | 2005.10.16 12:58

今調べてみたら、ショーターってWeather Reportに絡んでるんですね。
あんまりそのイメージがなかったもので、こちらこそ勘違いしてたみたい。
失礼しました。

おっしゃる通り、ジャズにおけるショーターの存在ってかなり大きいようですね。
今、ブルーノートに関する本を読んでるんですが、ショーター以前、以後って記述があるくらいですから。
マイルスのバンドに参加していた頃、ショーターが音楽的にリードしてたってのは間違いないでしょうね。
たぶん、この人はどこへ行ってもそれくらいの存在感を発揮する人なんだと思います。
マイルスって、ミュージシャンというだけでなくプロデューサ的な資質があると思うので、きっとそれを見抜いていたんでしょう。
ショーターの曲をたくさん採用しているし。
ショーターにしても、ザビヌルにしても、そのフュージョン方面へ進んでいく訳ですが、マイルスの方はフュージョンとはかけ離れた方向へ進んでいくのがまた面白いですね。

投稿: piouhgd | 2005.10.16 13:21

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