« 終わったな、SONY。 | トップページ | Virtual PCを使ってみた。 »

2005.09.11

9月11日を迎えて。

まったく、エライ日が衆議院選挙の投票日になったものだ。

9月11日といえば、4年前の2001年にアメリカで起きた同時多発テロを忘れる訳にはいかない。

その前日である10日、静岡放送のニュース番組にて同時多発テロにまつわる話題を扱っていて、なかなか興味深く見させて頂いた。

ニュースの内容はといえば、静岡大学・情報学部のアメリカ人助教授が一冊の本を出版したという話だ。本の題名は失念してしまったが、著者の経歴は下記の通り。

Mordecai George Sheftall's Homepage
※著者の経歴=静岡大学HPより

2001.9.11の事件は「複数の旅客機をハイジャックして、そのままNYの国際貿易センタービルとワシントンのペンタゴンに特攻した事件」であるのはご承知の通りだが、アメリカでは日本の神風特攻隊とダブらせて報道するパターンが多かったのだそうだ。

その助教授先生は「テロと神風特攻隊を一緒にするのは、日本人にとって失礼だ」という。

あのテロ事件がどういったものなのか、全体像を掴みかねているアメリカ人は多い。ただ、アメリカという国家が本土に攻め込まれて多大な被害を被ったという経験は、記憶が間違っていなければ「真珠湾攻撃」と「同時多発テロ事件」の二つになるだろう。だからこそ、第二次大戦で恐怖に苛まれた「カミカゼ・アタック」を比喩として持ち出す事は、短絡的な思考に拠るのかもしれないが当然の帰結にも見える。

それに異議を唱えるシェフタル助教授は、特攻隊の関係者の慰霊祭などに足繁く通い詰め、生き残りの兵隊さんなど100人近くのインタビューをこなしたそうだ。そこで彼が得た結論はこんなモノだ。

"Love(愛)とHate(憎しみ)の違い"

神風特攻隊には「身近な愛する人を守る、国家を守る」という愛情表現で駆り出されずにはいられなかったという結論を彼は持っている。しかし、テロリズムには「愛情がなく憎悪に駆り立てられているのではないか」という仮説を立てた様子。

ニュース記事の中だけなので彼の詳細な考察が見られないのが残念だが、おおよそこんな感じで記事が締めくくられていた。著書は英語で出版されているが、日本語版は「なるべく早期に出版したい」とのこと。興味があるので、是非買ってみたいと思うし、彼の元へメールでも出してみようかと考えている。

何故、上の様な言い訳を書いたかというと、もしかするとニュースには報道されていない部分の記述があるのかもしれないと考えたからだ。そこを確認していないままなので、こういった言い回し方をさせていただいた。

実は、ニュースを見ていて「モヤモヤした違和感」を覚えたのである。加えて、アメリカ人の心の中に気づかないうちに潜んでいるだろう傲慢さも透けて見えた様な感覚に陥った。

現代言われているテロリズムが生まれた背景に、アメリカという国の「帝国主義的政策」が影を落としている事は、いろんな場所で指摘されている。

軍産複合体がアメリカ社会に多大な影響を及ぼしている。雇用の側面でも、あるいは投資家保護という側面でも。軍需産業は武器・兵器に類する物を作って商売している訳だから、国防予算が増加する事は願ってもない事だし、それが有事になれば余計に彼らのフトコロが潤う仕組みになっている。当然、アメリカ経済を支えている大きな業界なので、政府の働きかけも尋常ではない。

あるいはアラブの石油利権の問題もある。アメリカがアラブ各国を民主主義化したいのは、王族が管理している石油利権を自由化させ、最終的にはメジャー(国際石油資本)などを使って自分たちの意のままにしたいという思惑があるだろう。

あの惨劇から始まって、イラク戦争に至るまでの流れの中で、アメリカ国民自身が戦争の正当性について迷いを持っているきらいがある。それは以上の事柄が誰の目から見ても明らかになっているからだ。同時多発テロに端を発しイラク戦争まで続く流れは、どちらかといえば報復よりも経済的側面が大きくのし掛かっていると考える向きが増えてもおかしくない。

だが、アメリカ人は事件を境にして、それこそ護送船団の様に挙国一致をしなければならなくなってしまったのではないだろうか…国民全てが"God Bless America"を歌わなければならなくなった様に。

アメリカはアラブ(イスラム圏)の国々に働きかけ、当初はパーレビ・イラン元国王などに、後にはフセインやビンラディンにさえ資金を提供していた。もちろん、それは自由主義の名の元にであり、上に書いた様な思惑を抱えてもいた。そして、理想を実現するために、彼らを小間使いの様に扱っていたのは周知の事実だ。

後年、彼らは反旗を翻した。反旗を翻した男達に、アラブ民族の自活を求める民衆が共鳴する。それは、どういう形の出発点にしろ、アメリカの傲慢さに怒りを覚えた事を内包した反応であるのは間違いない。

確かに、テロリズムは憎しみや怒りの感情から発した攻撃的な行動なのかもしれない。しかし、罪もない第三者国家を蹂躙し搾取するだけ搾取していくアメリカは、見方を変えれば国家でテロを行っていると見られても仕方がないだろう。

そして、アラブのテロリスト達も自分の家族、ひいては民族や宗教を大事にしている。それは助教授先生が言うところの「Love」ではないのか?

愛と憎しみは表裏一体のモノだ。まず、その事実を理解しない限り、比較論をいくら展開しても無意味だ。

特攻隊にしてもテロリストにしても、大きな所に巻き込まれて袋小路に追い込まれてしまった悲しい人々である。それは、もしかすると同時多発テロで亡くなった方々とも同種の悲しみを抱えているかもしれない。

アメリカ人から見たら、特攻隊もテロリストも加害者でしかない。

しかし、最大の加害者はアメリカという国家自身かもしれないのだ。その視点が欠落している限りは、何を書いても説得力を持ち得ない。

本当にアメリカの国民自身が平和を求めるのならば、あるいはアラブや他の国々との「邂逅」を望むのならば、いったん自らを振り返って考える必要があるのではないだろうか。

|

« 終わったな、SONY。 | トップページ | Virtual PCを使ってみた。 »

コメント

アメリカで生まれ育った後輩に言わせると、アメリカ人の多くは理知的でもなければ教養人でもないので、あんがい理屈が通じないそうです。基本的にヨーロッパと違って田舎モンなので、他文化に対する理解とかないし、それが必要であることすら理解できない。捕鯨論争なんかすると、「とにかくダメだ」の一点張りになって、議論にならないそうです。

ただ本来はモンロー主義、他国のことはどうでも良くて自国内のことだけで完結していたい人達なので、今回のハリケーンの対応遅れなどあると、国外より国内をなんとかしろ!となるようです。

ただ個人的に昔から不思議に思うのは、大統領が4年か8年で替わるのに、仮想敵国も含めた対外戦略は非常に長いスパンで組み立てられていますね。日本への戦略も、戦争の何年も前からスタートしてるし。誰がそういう長期戦略を立ててるのか、ちょっと……いや、かなり不思議ですね。

投稿: 斑牛の伊達 | 2005.09.13 01:48

伊達くん>

>あんがい理屈が通じないそうです。

これ、通じないよね…特に白人層は最悪(笑)。
かの国民には「郷に入れば郷に従え」という考え方は全くないみたい。
まさに経済的・軍事的な力で世界を支配しているとしか思えない。

>他文化に対する理解とかないし、それが必要であることすら理解できない

先手を打っちゃって、駐留する各国にプチ・アメリカを作っちゃうしね。
米軍基地のある町なんて最たるモノだと思いますよ。
でも、あれって元々の先住民にとっては迷惑な話だと思うし。

>仮想敵国も含めた対外戦略は
>非常に長いスパンで組み立てられていますね。

これ、確かに不思議ですよね。
ただ、国内であれだけ他人種を抱えちゃっていて、
国民意識を集約していくのに外側に目を向けていくってのは
やり方としては解らないでもないですがね。

>日本への戦略も、

第二次大戦からだから壮大な物語ですよ。
それにアメとムチを上手く使っているし。
いろんな方面の圧力団体(例えば軍需産業とか)も
連携した形で話を練っているだろうからスキが無いんだろうね。
だからといって、陰謀論とかに加担するつもりはないんだけれど。

アメリカ文化…特にエンタテインメントは好意を持ってる方なんだけれど、
たまにどこかで「飼い慣らされている」自分を思っちゃうんだよなぁ。
だから、僕も、そしてこれからの日本も、
アメリカを中心とした世界での立ち回り方が要求されるんでしょうね。

投稿: kikka | 2005.09.13 02:06

本のタイトルはこれですね。

Hardcover: 05 Jul 2005
Blossoms In The Wind: The Human Legacies Of The Kamikaze
ISBN:0-451-21487-0(9780451214874)
http://us.penguingroup.com/nf/Book/BookDisplay/0,,9780451214874,00.html
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=Special:Booksources&isbn=0451214870

Paperback: 27 Jun 2006
Blossoms In The Wind: The Human Legacies Of The Kamikaze
ISBN:0-451-21852-3(9780451218520)
http://us.penguingroup.com/nf/Book/BookDisplay/0,,9780451218520,00.html
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=Special:Booksources&isbn=0451218523

投稿: ジュビー | 2006.11.16 05:48

ジュビー様>

初めまして。
もしかして関係者の方だったりして…。

エントリー自体が1年以上前のモノだったので、
本に関してはいろいろと調べておりました。
ただ、僕は「純然たる日本人」ですので、
できれば翻訳版が欲しい(苦笑)。

アメリカに関する思いは、
昨年よりももっと厳しいモノを感じているかも。
今度の中間選挙を見たら、尚更そうなりました。

投稿: kikka | 2006.11.18 12:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100929/5874527

この記事へのトラックバック一覧です: 9月11日を迎えて。:

« 終わったな、SONY。 | トップページ | Virtual PCを使ってみた。 »