« ホームランダービー | トップページ | 無謀な願望。 »

2005.07.13

Ry Cooder / Chavez Ravine

予約していたRy Cooderの新譜"Chavez Ravine"(チャヴェス・ラヴィーンと読む)が届いたので、いつものレコード屋に引き取りに行った。

ry

Ry Cooder(ライ・クーダー)について簡単に紹介しよう。
彼の名前を聞いた事がある向きは、どちらかといえば映画のサウンドトラックの担当として知っているケースが多いかも知れない。有名な映画だとStreets of FireとかParis,Texasとかがあったりする。あるいはセッションギタリストとしても有名で、Rolling StonesをはじめEric ClaptonとかLittle FeetとかNeil Youngとかのアルバムに参加している。
だが、最も知られているのはヴェンダースが制作したドキュメント映画
"Buena Vista Social Club"(00年日本公開)の礎を作った音楽プロデューサーとしてだったりするんじゃないかと思っている(※ライがプロデュースしたアルバムは97年のグラミー賞を受賞)。

それと15年くらい前に、Earlytimes
テレビCMで、スライドギターを弾いている彼が突然画面に出てきた時はさすがにビックリした。たぶん、日本で一番ライが露出していた時期なんだろうなぁ(笑)。

彼自身はソロアルバムを11枚(+ベスト盤2枚)を出しているれっきとしたアーティスト。R&Bやブルースやジャズ、ラテンや沖縄音楽やハワイアンなど、アメリカに関わるいろんな音楽をベースにしたゴッタ煮的な音が特色。まぁ、アメリカン・ルーツミュージックの伝道者とでも(カッコ良く)言った方がいいかもしれない。

僕はこの人の音楽がけっこう好きで、ソロ名義のアルバムはさっき数えてみたら全部持っていた(爆)。この間の21Gramsの話っぽいが、アメリカの広い風景や国境線などを思い起こさせる様な渋い音が、心に染み入るのである。
元々はStonesとかClaptonの関連で彼のスライドギターの音色に興味を持った(←高校時代)。だが、それだけじゃなくThe Bandなどと同様に彼のアルバムに接するだけでアメリカの歴史物語をなぞっている様な感覚に陥ったりする。そんな風情が非常に心地よく、次第にクセになってきてしまい、ここまで飽きが来ないで聴き続けてしまっている。

今回は87年の"Get Rhythm"以来のソロ名義でのオリジナルアルバム。03年にコンピレーションアルバムを出してはいるが、それまではレコード会社との契約によりサントラしか出せなかった。要は「セールスが見込めないから」という事なのだが。
そんな冷遇を味わったワーナーからノンサッチ・レーベルに移り、制作環境が比較的自由になったのだろう。そこで彼独特の
物語を綴るようなアルバムが満を持して登場してきた。

今回のテーマは、そのチャヴェス・ラヴィーンというLA郊外の街を舞台にしたモノだ。現在のドジャースタジアムのあたりが該当する。
1950年代に政治家や実業家達は「アカ狩り」や「ギャング一掃」の名目の元に、メキシコ系住民
公共事業を進めようとする市当局に対して攻撃を強めていき、土地を略奪していく…という話が進んでいく。
ヘヴィーなテーマだが、土地政策に対する批判やチャヴェス自体へのノスタルジアも織り交ぜながらも
決してアルバム全体のトーンは湿っぽくなっていない。ラテン系の明るいトーンの曲が多いので、どちらかといえば昔話を語る風情がある。そして末代まで伝えていく趣も感じられる。

一般的な攻撃的な曲よりもオブラートに包んだ感は否めないが、逆にアメリカという国が発展していく上での悪いケーススタディとして心底まで響くかもしれない。傍目には癒しの曲にも聞こえるし、曲によっては思わず踊ってしまいそうなモノもある。だが、物事をより印象づけるためには、ノスタルジアも含めて静かに語り継がれていく方が効果的かもしれない。

Ry Cooderって、案外見た目よりも過激な人なのかも。というより「執念深い人」って言い方がこの場合は適しているか(笑)。

スライドギターの音色を聴きながら、そんな事を思ったりしている。

<追記 7月13日 3:16AM>
そう言えば"Tex-Mexサウンド"って言い方があったっけ。ちなみにTex=Texas、Mex=Mexicoって意味ですが、所謂アメリカの国境周辺で発展した音楽の事です。今回のアルバムは、ライがその音に回帰している感じがします。

マジで久々の"鳥肌音楽"の様な気がします。

|

« ホームランダービー | トップページ | 無謀な願望。 »

コメント

ラノワ同様、クーダーさんもほぼ未知の世界です。
ちゃんと聴いたのってブエナ・ビスタくらいですかね。
この人もキャリアのわりには自身のアルバムが少ない人ですよね?

>今回のテーマは、そのチャヴェス・ラヴィーンというLA郊外の街を舞台にしたモノだ。

このあたりって、ジェイムズ・エルロイの小説に描かれていますね。(「LAコンフィデンシャル」の原作者です、念のため。)

ラテンの曲って明るくてもどこか物悲しさとかが常にありますよね。
だから、ストレートに怒りをぶちまけたような音楽よりもジワジワと効ききそうな気がします。

投稿: piouhgd | 2005.07.13 09:46

pio様>

>クーダーさんもほぼ未知の世界です。

でも、案外テレビ番組等で彼の曲って使われてますね。
気が付いたらそうだったって感じで。

>キャリアのわりには自身のアルバムが少ない人ですよね?

上にも書いた様にワーナーとの契約の縛りがあったようです。
ただ、Burbank Soundの立役者には辛い仕打ちですね。
ワーナーが大会社に成長するに従って、
これまでの貢献度を考慮せずに切られた形ですから。

>ジェイムズ・エルロイの小説に描かれていますね。

エルロイ自体を知りません、ゴメンなさい(苦笑)。
少し補足しておきますが、今回のコンセプトは、
ライ自身がLA出身だった事から想像したようです。
彼自身はサンタモニカ方面の在住だったようですが。

>ストレートに怒りをぶちまけたような音楽よりも
>ジワジワと効ききそうな気がします。

必ずしもガーンと言うのが良くない場合がありますよね。
それこそ諭す様に接する方が心に染み入る感じがある。
無意識的に諭す様な効果が身に付いているのかも知れない。

ラテンの音楽に関して言えば、明るいイメージがあります。
しかし民族的には搾取の歴史があったり、辛い局面があったりする。
それを音楽で癒すというのは黒人にとってのブルースと同じ。
必ずしも歴史的背景にまで踏み込む必要はないですが、
頭の片隅にチラッと雰囲気を残しておく事で
より深く接する事ができるかもしれません。

投稿: kikka | 2005.07.13 13:33

>kikkaさん

>エルロイ自体を知りません

そうでしたか、それは失礼しました。
補足すると、エルロイの作品でLA四部作というのがあるんですが、舞台がちょうど50年代のLAで、チャベス渓谷にまつわる話とかそのあたりの薄汚い金の話なんかが話の背景にあるんです。
でも、犯罪小説だし、やっぱり白人の側から見た記述なので、ライ・クーダーのアルバムの内容にはマッチしないと思いますが。
そうですか、ライ・クーダーってLA出身なんですね。

投稿: piouhgd | 2005.07.13 15:15

初めましてこんにちは、コメント&TBありがとうございます。
Ry Cooderは大好きなギタリストの一人で、
もう一つのblogで2つ記事にしてますので、(ちょっと古い
記事なのですが)TBかけさせていただきました。

EarlyTimesのCMは、大好きでしたね~。
もう一度、見てみたいです(私も見たときびっくりしました)

新譜はTOWERで視聴したんですけど、迷ったあげくに
買いませんでした。買ったほうが○ですか?(笑)

投稿: オクターブの共鳴音(あれやこれや) | 2005.07.13 22:00

オクターブの共鳴音 様>

不躾なトラバ&コメント、失礼いたしました。
"Bop Till You Drop"のジャケ写でグッと来た者です(笑)。
邦題が確か「バックドロップ・デラックス」だったんじゃないかと。
いま考えるとあれほど不釣り合いなタイトルは無いですね(笑)。

>もう一つのblog

今、読ませていただきました。
Paris,Texasのサントラがライじゃなかったら、
映画の魅力は半減していたでしょうね。
ヴェンダースが紡いだ映像もキレイでしたが、
あの映画は音楽が主導権を握ってた風にも見えますね。

>EarlyTimesのCMは、大好きでしたね~。

あのCMが流れている時期に
デヴィッド・リンドレーとタッグで来日したんですよね。
ライについて説明する時に「EarlyTimesのオジさん」って言えば、
音楽には疎い向きでも解ってくれましたもの。
ある女の子をその手で騙して、
昭和女子大の人見記念講堂に拉致した事がありますから(笑)。

>買ったほうが○ですか?(笑)

ここ数年は不遇の契約を強いられていたので、
とりあえずオリジナルアルバムを集めている向きは
義務のように買わなきゃイカンですね(笑)。
"Chicken Skin Music"とか"Get Rhythm"が好きな方なら、
絶対に買いだと思います。

投稿: kikka | 2005.07.13 23:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100929/4943061

この記事へのトラックバック一覧です: Ry Cooder / Chavez Ravine:

» 聴きたい音楽(1)Ry Cooder [オクターブの共鳴音]
最近、新譜とかうわさを全くきかないけどどうしてるんだろう~。 [続きを読む]

受信: 2005.07.13 21:53

» 「Buena Vista Social Club」を見て [オクターブの共鳴音]
私の好きな(前述)「Ry Cooder」の映画だということは最初から知っていたんだけど、「キューバの音楽」ということと、出たとき「おしゃれな音楽映画」のような売り方をしていたのも今一つで、食わず嫌いというか、どうも見る気になれなかったやつです。... [続きを読む]

受信: 2005.07.13 21:54

« ホームランダービー | トップページ | 無謀な願望。 »