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2005.06.16

61*

 メジャーリーグを題材にした『61*』というDVDを借りてきた。

40m

 ずっと気にしていた作品なのだが、日本ではレンタルのみの取り扱いという事でなかなか目にする事がなかった。が、先日のアリのDVDの横にあったのを思い出して、期限を待たずに前に借りたヤツを返却した上で、早速借りてきた。

 メジャーリーグ通なら「61」という数字が何を表しているかは解るだろう。ロジャー・マリスが持っていた年間HR記録を意味している。1961年、ベーブルースの年間HR記録(60本)を打ち破ったロジャー・マリス、そしてライバルでもあり同じように記録を打ち破ろうとしていたミッキー・マントル、彼ら二人の1年間を振り返ったTVドラマが『61*』である。

※参考資料(Circle Changeより)
ロジャー・マリス 生涯成績
ミッキー・マントル 生涯成績

 ところで「61」という数字の後ろの*という記号、これには意味がある。この記号は「参考記録」という注釈を示すものである。マリスが打ち立てた金字塔は、91年に正式に認可されるまでは参考記録扱いだった。ベーブ・ルースの記録より試合数が多い(ルース=154試合、マリス=162試合)という事で参考記録扱いにされたのだが、これにはいろんな感情が入り交じっている。
 一つは、国民的娯楽であるMLBに於いて「象徴的存在」だったルースの記録を抜く事に対する世間の拒否感があった。それこそ「ルースの記録を守るために世論が一致団結をしてしまった」程に拒否感を示していた。
 もう一つは僕の想像。マリスの成績は60&61年にMVPを獲得しているモノの打率が3割を超えた事が無く、全般的な成績だけ見ると一流選手ではあるが超一流選手ではない。逆に同僚のマントルの方がスーパースターと言われるだけの成績を残している。世間は解りやすいスターを望んでいるものだと思う。故にそうでない(と思われる)選手がルースを超えるのを望んでいなかった。仮にマントルの方がコンテンダーだったら、ここまで拒否反応を示されなかったのではないだろうか。

 物語はマリスとマントルのホームランダービー、そして周囲からのプレッシャーに対する苦悩が描かれている。
 マリスが記録に近づくにつれ、周囲の喧騒が高まっていく。まず「試合数=154試合での到達でないと認めない」と言い出すコミッショナー、「ミッキーが後ろ(4番)を打つからお前が楽なんだ!」と罵声を浴びせる輩、ファンレターに「くたばれ!」と書いて送る輩、そしてそれに便乗してゴシップ記事を書こうとするマスメディア。世間が彼を引きずり降ろそうと手ぐすね引いて待っている状況が現れてくる。
 元々、真面目な性格のマリスだけに、周囲の喧騒が高まるに連れ思い悩んでいく。だが、それを救ったのが同じ境遇、つまりHR記録の更新の可能性を持っていたミッキー・マントルだった。
 マントルは華やかな選手でそれこそ「ヤンキースの顔」だったが、やはりスターゆえのプレッシャーに苛まれていた。加えて早逝の家系に生まれ自分も早死にするものと信じていたのもあり、不摂生を重ねていた。その結果が故障と肺炎によるシーズン終盤の戦線離脱へと繋がった。
 劇中で「ロジャー、俺は先に降りるよ」と言い残し、マリスを励ます側に回ったマントルであった。さもすれば孤立しようとしていたマリスだったが、同じ思いを共有した友人が傍にいなかったらどうだったろうか。少なくとも正気を保つ事は難しかったのではないだろうか。ドラマの最後に「お前がいたから(記録が達成できた)」とマリス。だが、マントルは「お前だけが成し遂げた記録だ」と答える。真のライバル関係とは、気兼ね無しに語り合う事が出来ることが出来る関係かもしれない。

 端から見ると青い、そして甘い話なのかも知れない。しかし何度も見ると「スター・システムとは何か」「重圧との付き合い方」「ライバルとの関わり合い」など、非常に考えさせられる物語であった。

 最後に一言。
 ビデオの存在を教えてくれた国会議員氏に感謝。

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