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2005.04.23

名人・岡部幸雄

 昨日、競馬関連のムック本『岡部幸雄全史〜ありがとう38年〜』ってのを購入した。

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 この3月に中央競馬の騎手を引退した岡部幸雄氏。彼の競馬界においての数々の偉業を振り返る趣向のムック本で、付録の「勝利G133レース収録」というDVDもあったので記念に購入したわけだ。
 内容に簡単に触れると、彼の勝った重賞レース(現在で言うG3格付け以上のもの)の紹介、勝利G1レース及び8大競走の全解説が主。他にも「花の15期生」の対談など、緊急で作った割には盛りだくさんで、競馬ファンにとってはなかなかお得な商品である。
 個人的にはDVDがフジテレビの実況映像ではなく、競馬場や場外馬券売り場で流れていたJRAオフィシャル(実況がラジオたんぱ)のものだったところにグッと来てしまった(笑)。

 僕が競馬を始めた(馬券購入という意味で)1987年というのは武豊のデビューの年として現在の競馬ファンに記憶されるだろう年だが、同時に岡部幸雄が"天才・福永洋一の年間最多勝を更新"した年でもある。翌年がタマモクロスvsオグリキャップで競馬大ブームの魁になった年であるから、競馬サークル内外にとってエポックメーキング的な年だったのは間違いない。
 岡部幸雄というのは、僕に競馬の何たるかを「騎乗」という一側面から教えてくれた人かな。特に3〜4番手くらいの位置につけ、最終コーナーを回った後の一気の飛び出しという勝ちパターンは、近代競馬のレースの組み立ての好例としか表現しようがない。
 決して馬に無理をさせない、そこが勝負=賭け事の世界から見ると物足りない部分なのかもしれないけれど、博打の世界にいてアスリート然としていたのは僕が知る限り彼が唯一だ。

 昨日はDVDに入っていた33レースを繰り返して見て、すっかり徹夜。大部分のレースが現場(主に東京競馬場)ないし府中のターフビジョンで目の当たりにしているから、自分自身の過去を振り返るような側面もあったりして感慨深かった。合わせて呑んでいた酒も進む進む(苦笑)。
 シンボリルドルフはどのレースを見ても圧倒的に強かったし、オグリキャップの一度目の有馬記念はオグリ自身のベストレースだったし、ヤエノムテキの天皇賞・秋は府中2000mのレース特性を見事に活かした快心の一戦だったし、シンボリクリスエスは岡部が育ての親だし、ビワハヤヒデはここ10年でもパーフェクトな馬だったし、タイキシャトルとシンコウラブリィはマル外馬のパイオニアだとおもったり…とにかくいろんな想いが走馬燈(←馬だけに)のように蘇ってきた。

 その中で真に震えが来た【名人のモノ凄さ】を実感したレースがある。

 1986年4月29日 第93回天皇賞・春(京都競馬場・芝3200m)のクシロキングである。血統的にも体型的にも決して長距離得意のステイヤーではないクシロキング(どちらかといえば2000mまでが得意の馬)が春天を快勝してしまった一部始終は、岡部幸雄という騎手の存在感を巨大にしたレースとして特筆すべきだろう。
 スローペースで始まったレースで、スタートから1周目のスタンド正面では最後方に位置してスタミナの温存に徹し、2周目で京都の第二コーナー(第三コーナーの坂の手前)辺りからグングンと加速して一気にまくっていきそのまま押し切ってしまう。
 これが「3200mのレースを1600mのレースにした」という伝説の騎乗なのだが、現在の騎手でこれだけの芸当ができるのかどうか。武豊、横山典弘、蝦名正義あたりはこの「聖域」に一歩踏み込み始めた感もあるが、まだまだ遠く及ばない気がするのは僕だけだろうか。
 とにかく見ていて身体の震えが止まらなくなり、繰り返し繰り返し10回以上も見てしまった程の見事なレース映像だった。

 先週の皐月賞、そして桜花賞を見ていると、岡部幸雄の不在が重く感じる。彼を凌ぐ新時代のジョッキーは、果たして現れるのだろうか?

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